訪問看護ステーションは、地域社会における医療サービスの重要な一翼を担っています。特に高齢化社会が進む中で、訪問看護の需要は年々増加しており、これに対応するためには十分な数の看護師が不可欠です。
しかし、訪問看護ステーションに従事する看護師の数は十分ではなく、看護師不足という課題が深刻化しています。本記事では、訪問看護ステーションに従事している看護師の数や、規模別の看護師数の違い、さらには看護師数が重要な理由とその影響について詳しく解説します。
ぜひ、参考にしてください。
訪問看護ステーションに従事している看護師の数はどのくらいいるの?
訪問看護ステーションに従事している看護師の数はどれくらいいるのでしょうか。ここでは、就業場所別に見た就業保健師等の数を紹介していきます。
訪問看護ステーションの看護師数とステーション数を紹介
就業場所別の実人員を見ると、保健師は「市区町村」に30,450人(54.8%)が従事しており、最も多いことが分かります。一方、助産師、看護師、准看護師は「病院」での従事者が最も多く、助産師は23,321人(61.5%)、看護師は883,715人(69.0%)、准看護師は101,628人(35.7%)です。
常勤換算数でも、保健師は「市区町村」で27,967.8人(54.4%)、助産師、看護師、准看護師は「病院」でそれぞれ22,217.2人(64.9%)、846,036.3人(72.2%)、93,985.3人(38.1%)と、病院での従事が大多数を占めています。
こちらは、訪問看護ステーションに従事している数の年度別の人数のグラフです。年々増加傾向になっていることがわかります。
また、平成22年から10年経過して、従業者数は約4倍にもなっています。このグラフから見ても訪問看護師の需要が高くなっていることがわかります。
こちらは、訪問看護の事業者数の年次推移です。このグラフを見ると、病院または診療所が減っている一方で、訪問看護ステーションは増加している傾向にあります。
そのため、訪問看護の需要が高まっていることと、病院や診療所に訪問することができない高齢者が増えていることもわかります。
大規模訪問看護ステーションのメリット・デメリット
大規模訪問看護ステーションには、メリットとデメリットがあります。そのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
以上の2つを詳しく解説していきます。
メリット
大規模な訪問看護ステーションにはいくつかのメリットがあります。まず、チームワークとサポート体制の充実が挙げられます。
多くのスタッフがいるため、情報共有や協力体制が整っており、利用者へのケアがより円滑に進みます。また、負担軽減と働きやすい環境の実現が可能です。
スタッフ数が多いため、一人ひとりの負担が軽減され、働きやすい環境が提供されます。さらに、キャリア形成におけるメリットも大きいです。
大規模な施設では、研修プログラムやキャリアアップの機会が豊富にあり、看護師として成長できる環境が整っています。
デメリット
大規模な訪問看護ステーションにはいくつかのデメリットも存在します。まず、きめ細やかなサービスが受けられない可能性が挙げられます。
スタッフ数が多いため、利用者一人ひとりに十分な時間を割くことが難しく、細やかな対応が不足することがあります。また、事務的な対応になりやすいこともあります。
組織が大きくなると、利用者とのコミュニケーションが形式的になりがちで、温かみのある対応が減少する可能性があります。さらに、転勤や異動が多いこともデメリットです。
看護師の担当が頻繁に変わることで、利用者が慣れ親しんだ担当者との信頼関係が築きにくくなることがあります。最後に、人間関係が複雑化しやすいという点もあります。
スタッフ数が多くなることで、職場内の人間関係が複雑になり、働きづらさを感じることがあるかもしれません。
小規模訪問看護ステーションのメリット・デメリット
小規模訪問看護ステーションには、メリットとデメリットがあります。そのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
以上の2つを詳しく解説していきます。
メリット
小規模な訪問看護ステーションには、利用者にとって多くのメリットがあります。まず、スタッフが利用者一人ひとりの状況を把握しやすく、きめ細やかなサービスを提供できる点が挙げられます。
また、少人数ならではのアットホームな雰囲気があり、利用者がリラックスしてサービスを受けられる環境が整っています。さらに、小規模だからこそ利用者のニーズに柔軟に対応できるため、個別の要望に応じたケアが可能です。
これらの特長は、利用者にとって安心感や満足感を高める重要な要素となります。
デメリット
小規模な訪問看護ステーションにはデメリットも存在します。まず、専門性の高い看護師が不足している場合があり、高度な医療ケアを必要とする利用者への対応が難しいことがあります。
また、24時間体制で対応していないケースが多く、夜間や休日の緊急時にサポートが受けられない可能性があります。さらに、訪問看護以外のサービスを提供していない場合もあり、利用者の多様なニーズに応えるのが難しいです。
そして、スタッフ数が少ないため、一人ひとりの負担が大きくなり、サービスの質や対応に影響を与えるリスクもあります。
看護師数が重要な理由3選
看護師数が重要な理由は主に3つあります。
以上の3つについて詳しく見ていきましょう。
1.利用者への対応力
利用者への対応力が変わってくるからです。十分な人員が確保されていることで、利用者一人ひとりに対して質の高い看護サービスを提供することが可能になります。
看護師が余裕を持って業務に取り組める環境が整えば、細やかなケアやコミュニケーションが実現し、利用者の満足度も向上します。一方で、看護師が不足すると、一人あたりの業務負担が増加し、サービスの質が低下する恐れがあります。
そのため、適切な人員配置は、看護サービスの品質を保つ上で欠かせません。
2.急変時や医療との連携の質
2つ目は、急変時や医療との連携の質が変わってくるからです。看護師の数は、急変時の対応や医療機関との連携の質に直結します。
利用者の容態が急変した際、迅速かつ適切な判断を下すためには、十分な人員とスムーズな連携が不可欠です。看護師が十分に配置されていれば、緊急対応に専念できるスタッフを確保でき、医師や専門機関との連携もスムーズに進みます。
一方で、人手が不足している場合、対応が遅れたり、連携が不十分になるリスクが高まります。そのため、急変時にも質の高いサービスを提供するためには、看護師の確保が重要です。
3.利用者のサービス充実度
3つ目は、看護師数によって、利用者のサービス充実度があるからです。十分な看護師が配置されている場合、利用者一人ひとりに時間をかけて対応できるため、細かなケアや個別のニーズに応じたサービスが提供されます。
また、看護師の余裕があることで、利用者とのコミュニケーションが深まり、信頼関係の構築にもつながります。一方、看護師が不足している場合、業務の効率化が優先され、サービスの質が低下する可能性があります。
そのため、看護師数の確保は、利用者満足度の向上に欠かせない要素です。
訪問看護ステーション今後の課題
訪問看護ステーションが直面する最大の課題は、圧倒的な人員不足です。普段から業務負担が大きい中で、急なスタッフの離職や欠勤が発生すると、さらに状況は悪化してしまうでしょう。
令和元年の厚生労働省の調査によれば、3400人中43%の人が「急な欠勤や繁忙期の対応による突発的な人手不足」を経験しています。人員不足は業務効率の低下を招き、トラブルの発生頻度が増加するだけでなくスタッフへの負担も一層大きくなります。
このような状況が続くと、さらなる離職を引き起こし、負の連鎖を生むリスクがあります。
訪問看護ステーションの将来的な展望
訪問看護ステーションは日本の超少子高齢化社会において、必要不可欠な存在として今後ますます注目されるでしょう。特に人手不足が深刻化している現状だからこそ、訪問看護は将来性の高い分野といえます。
働き方の多様化が進み、フレックスタイム制やリモートワークの導入により、子育て中や介護との両立を希望する看護師も働きやすい環境が整いつつあります。
また、初心者向けの研修プログラムやキャリアアップ支援の強化により、看護師のスキル向上と定着率の向上が期待されています。さらに、IT企業やスタートアップ企業との異業種連携により、新しいサービス開発や業務効率化が可能となり、訪問看護の幅が広がります。
外国人看護師の受け入れ促進も、人材不足の解消に向けた重要な取り組みの一つです。こうした多角的な努力が訪問看護の未来を支え、日本の医療と福祉をさらに発展させる原動力となるでしょう。
訪問看護ステーションで働くならMICOMがおすすめ
株式会社MICOMは、精神科に特化した訪問看護ステーションを運営し、精神疾患や精神障害を抱える方々への訪問看護サービスを提供しています。サービス内容には、健康状態の観察、薬剤管理、日常生活支援(食事、入浴、排泄など)、精神面のケア、家族への支援などが含まれます。
また、同社では充実した安全管理体制と24時間のバックアップ体制を整え、看護師が安心して働ける環境を提供しています。さらに、未経験者向けの研修制度や、子育てや介護との両立支援も充実しており、柔軟な勤務形態を選択可能です。
経験豊富な先輩スタッフのサポートがあり、職場環境も整備されています。
まとめ
訪問看護ステーションは、地域社会の医療サービスに欠かせない役割を果たしており、特に高齢化社会の進行に伴い、訪問看護の需要は急増しています。しかし、看護師不足が深刻な課題となっており、看護師の確保が重要です。
現在、訪問看護ステーションに従事する看護師数は増加傾向にありますが、依然として人手不足の影響を受けています。これにより、看護師の業務負担が増大し、サービスの質や急変時の対応に影響を及ぼしています。
将来的には、フレックスタイム制やキャリア支援の強化、IT活用などにより、働きやすい環境作りとともに訪問看護の質向上が期待されています。また、株式会社MICOMは、精神科に特化した訪問看護サービスを提供し、未経験者向け研修や柔軟な勤務形態を支援しており、働きやすさが特徴です。
ぜひ、この記事を参考にしてください。